EDINETのXBRL開発で不可欠なタクソノミの理解と活用法

概要

EDINETのXBRLを利用して開発を行う際、避けられない重要な要素のひとつがタクソノミ(Taxonomy)に関する知識です。タクソノミは、企業が提出する財務情報やその他のビジネスデータを標準化し、構造的に定義するための枠組みであり、XBRL(Extensible Business Reporting Language)の核となる部分です。

タクソノミの基本概要

タクソノミは、報告項目の名称や計算ルール、相互の関係を明確に定義するための分類体系です。XBRLデータにおいて、タクソノミはデータの意味を説明し、特定の業界や国に固有のルールに基づいて情報を整理します。これにより、企業間や業界全体で報告内容が統一され、データの比較や分析が容易になります。

EDINETでのタクソノミの役割

EDINET(Electronic Disclosure for Investors’ NETwork)は日本の金融庁が運営する電子開示システムであり、企業の財務報告や開示資料を提供しています。EDINETでは、タクソノミを基にXBRL形式でデータを公開しており、開発者はこれを解析することで自動化されたデータ処理や分析を行うことができます。

タクソノミ理解の重要性

タクソノミを理解することは、XBRLデータを正確に解析し、適切に利用するために必須です。具体的には、以下の知識が重要です:

  1. 要素定義(Element Definition):各財務項目の定義と、それに対応するデータの性質(数値、テキスト、期間など)。
  2. ラベル(Labels):異なる言語や文脈に応じて使われる項目名。
  3. 計算リンク(Calculation Linkbase):財務項目間の計算関係(例:総資産 = 流動資産 + 固定資産)。
  4. 表示リンク(Presentation Linkbase):表示順序やグループ化を定義する構造。
  5. 参照リンク(Reference Linkbase):各項目が関連する法的基準や会計基準へのリンク。

タクソノミを活用した開発

タクソノミに関する知識を活用すれば、EDINETのXBRLデータから財務分析ツールを構築したり、報告書を効率的に解析するソフトウェアを開発することが可能になります。特定のタクソノミに基づいたデータの正確なマッピングや、報告内容の自動抽出は、XBRLを利用した開発において避けて通れないプロセスです。

EDINETタクソノミのコードとその意味

財務基準

コード名称英語子項目備考
jpdeiDEI Document and Entity Information開示主体に関する基本情報を含むタクソノミ。
jppfs務諸表本表 Financial Statements事業別でフォルダごとに各自のタクソノミが用意されている。国際会計基準に基づく。
jpigp国際会計基準 International Financial Reporting Standards国際的な会計基準に基づくタクソノミ。(IFRS)
jpcrp開示府令Disclosure Ordinance以下のタクソノミが含まれる:
開示府令 第五号の三様式 臨時報告書: jpcrp-esr
開示府令 第十七号様式 自己株券買付状況報告書: jpcrp-sbr
開示府令に関するタクソノミ。
上記の三つを含む、四つのタクソノミ集合。
jpsps特定有価証券開示府令Specific Securities Disclosure Ordinance以下のタクソノミが含まれる:
特定有価証券開示府令 第二十五号の三様式 自己株券買付状況報告書: jpsps-sbr
特定有価証券開示府令 臨時報告書: jpsps-esr
特定有価証券に関する開示に用いるタクソノミ。
特定有価証券に関する開示において、一つの書類管理IDに対して、複数のXBRLファイルが存在することが多いです。これには、バランスシート(BS)や損益計算書(PL)など、異なるタイプの財務報告書が含まれる。
特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令 | e-Gov法令検索
jptoo他社株買付府令Tender Offer Ordinance以下のタクソノミが含まれる:
第二号様式 公開買付届出書: jptoo-ton
第四号様式 意見表明報告書: jptoo-pst
第五号様式 公開買付撤回届出書: jptoo-wto
第六号様式 公開買付報告書: jptoo-tor
第八号様式 対質問回答報告書: jptoo-toa
他社株買付に関するタクソノミ。
jptoi自社株買付府令
Self-Tender Offer Ordinance自社株買付に関するタクソノミ。
jplvh大量保有府令Large Holdings Ordinance大量保有に関するタクソノミ。
jpctl内部統制府令 第一号様式 内部統制報告書Internal Control Ordinance内部統制に関するタクソノミ。第一号様式の内部統制報告書が含まれる。

jppfsに含まれた事業コードとその意味

コード事業名
cai一般商工業
cns建設業
bk1銀行・信託業
bk2銀行・信託業(特定取引勘定設置銀行)
cna建設保証業
sec第一種金融商品取引業
in1生命保険業
in2損害保険業
rwy鉄道事業
wat海運事業
hwy高速道路事業
elc電気通信事業
ele電気事業
gasガス事業
liq資産流動化業
ivt投資運用業
inv投資業
spf特定金融業
med社会医療法人
edu学校法人
cmd商品先物取引業
leaリース事業
fnd投資信託受益証券

タクソノミとArcrole・Linkroleの関係

Arcrole(アークロール)とLinkrole(リンクロール)は、タクソノミにおける重要な要素であり、タクソノミ内でのデータ要素間の関係性を定義する仕組みです。これらの概念は、タクソノミの構造や要素同士の関連性を正確に理解し、情報を有効に利用するために不可欠です。

タクソノミの概要

  • タクソノミは、財務報告やビジネスデータを標準化・分類化した体系であり、XBRLデータにおいて報告項目の定義や相互関係を整理します。
  • タクソノミは、要素(Element)同士がどのように関連しているかを理解するための基本的な枠組みです。例えば、財務報告書における「資産」と「負債」のような主要項目がどのような構造で記述され、相互にどう関連するかをタクソノミが決定します。

Arcroleとタクソノミ

  • Arcrole は、タクソノミ内で要素同士の関係の種類を表現します。タクソノミには多数の要素が存在し、これらの要素間には多様な関係(例えば、計算関係、表示順序など)がありますが、その関係を意味付けるのがArcroleです。
  • たとえば、ある要素が別の要素の「合計」である場合、この関係はタクソノミ内で Arcrole(例:summation-item) を使って定義されます。これにより、「総資産」は「流動資産」と「固定資産」の合計であるという関係が正確に表現されます。

Linkroleとタクソノミ

  • Linkrole は、タクソノミ内の要素の文脈や役割を定義します。タクソノミの要素は、異なる文脈で異なる役割を果たすことがありますが、Linkroleはその役割の違いを区別するために使われます。
  • 例えば、損益計算書の中の「収益」とキャッシュフロー計算書の中の「収益」は同じ要素でも、異なる文脈で使われる可能性があります。Linkroleを使うことで、各文脈に応じた表示方法や関係性を整理することができます。
  • また、計算リンク(Calculation Linkbase)表示リンク(Presentation Linkbase) などの異なるリンクベースに基づき、要素の表示順序や計算方法を変えることも可能です。

タクソノミの機能におけるArcroleとLinkroleの役割

  • Arcrole は、タクソノミ内での要素同士の関係の意味を明確化します。これは、要素が互いにどう影響し合い、計算されるべきかを定義するのに重要です。
  • Linkrole は、同じタクソノミ要素が異なる文脈や役割で使われる際の整理を行い、適切に表示・計算・分析されるように文脈を明示します。

確認方法

LinkRole

タクソノミファイルを解凍後、第一階層にある下記の正規表現に合ったファイルに、各表のLinkRoleを記載されている。

XML
財務基準コード_rt_yy-mm-dd.xsd

ArcRole

名称ファイル名に含まれる種別コード意味定義リンク
定義リンクdef定義リンクでは項目間のデータモデル上の関係を定義します。
http://xbrl.org/int/dim/arcrole/all
http://xbrl.org/int/dim/arcrole/dimension-default
http://xbrl.org/int/dim/arcrole/dimension-domain
http://xbrl.org/int/dim/arcrole/domain-member
http://xbrl.org/int/dim/arcrole/hypercube-dimension
計算リンクcal項目間の関係を定義したもの
1以外の数が指定されている場合には、その項目の値に掛け算をする
http://www.xbrl.org/2003/arcrole/summation-item
ラベルリンクlab, lab-en, gla要素に指定されたラベルを定義します。http://www.xbrl.org/2003/arcrole/concept-label
参照リンクref科目の出典などが記載されます。http://www.xbrl.org/2003/arcrole/concept-reference
表示リンクpre項目間の表示順序を定義します。http://www.xbrl.org/2003/arcrole/parent-child

まとめ

タクソノミは、XBRLの技術的基盤を理解し、データを効果的に活用するための重要なフレームワークです。特にEDINETのデータを使った開発において、タクソノミの構造や要素を深く理解することが、データ解析の精度と効率を大きく高める鍵となります。タクソノミは、XBRLの要素やその関係性を標準化し整理する役割を果たし、その中でArcroleLinkroleは不可欠な要素です。Arcroleは要素間の関係の種類を明確に定義し、Linkroleは文脈や役割に応じた適切な解釈を提供します。これらが正確に機能することで、XBRLデータの構造を正しく理解し、財務報告書の分析や処理が一貫性を持って行えるようになります。

参考資料

  1. 2024年版EDINETタクソノミの公表について:金融庁 (fsa.go.jp)
  2. EDINET (edinet-fsa.go.jp)
  3. EDINET タクソノミ 用語集
  4. バリデーション ガイドライン
  5. EDINET APIの利用制限と対策について
  6. EDINETコードインフォの取得方法
  7. EDINET ファイルの取得方法とその利点・欠点


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